坐骨神経痛の原因のひとつとして挙げられるのが椎間板(ついかんばん)ヘルニアだ。その新しい治療法としてPLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)が注目されている。体を切開せずにレーザーを使って治し、痛みをとる。低侵襲(しんしゅう)なので、患者にやさしい治療法である。伊東くりにっく院長の伊東信久先生は、2007年は358例のPLDDを手がけ、延べ症例数は5000例を超える。
坐骨神経痛と椎間板ヘルニア
坐骨神経痛の症状は、おしりや太ももの裏側、ふくらはぎなどの痛みです。これらの痛みは、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、骨・神経の腫瘍などの病気が原因となり、坐骨神経につながる神経が圧迫されて起こる場合が多いといえます。そして、椎間板ヘルニアの場合にPLDDが効果を発揮します。
背骨は横から見るとS字のような形をしており、上部から首(頸椎)、背中(胸椎)、腰(腰椎)、下部の仙骨(仙椎)、尾骨(尾椎)と、骨が連結して成り立っています。この骨と骨をクッションのように支え、結びつけているのが椎間板という軟骨です。
椎間板の真ん中には髄核があり、その周りを線維輪という軟骨組織が幾層にも囲んでいます。外的な衝撃などにより線維輪に亀裂が生じ、その隙間から髄核が突出して神経を圧迫する状態を椎間板ヘルニアといいます。
PLDDで日帰り手術が実現
椎間板ヘルニアに対するレーザー治療は、1986年にオーストリアで初めて実施されました。それ以来、日本では1990年代から普及してきました。なかでもPLDDは、患者に対して侵襲性が極めて低い手術として注目されています。
PLDDは、局所麻酔を使用し、X線透視下で穿刺針(直径1.6mm未満)を椎間板に挿入します。この針の内側に細いレーザーファイバーを通して椎間板まで挿入。レーザーを照射し、髄核を焼いて空洞をつくります。そこが治癒し、縮むことによって椎間板がへこむので、神経への圧迫がなくなるわけです。
治療時間は、局所麻酔からレーザー治療まで10~15分ですみ、日帰り手術が可能です。出血は少なく、傷跡もほとんど残りません。合併症の心配がないため、糖尿病や内臓疾患、心筋梗塞などの病気を持っている方でも治療が受けられます。
2007年は358例のPLDDを手がけました。患者さんは12歳から90歳までの幅広い年齢層です。ただ、PLDDは、すべての椎間板ヘルニアに対して有効なわけではありません。約8割の方は治癒しましたが、2割の方は残念ながら明確な効果が認められませんでした。半面、他の医療機関で手術が適用できないといわれて、PLDDで治癒された方もいます。
いずれにしても、診察時にMRI検査、X線検査などを行い、PLDDにより椎間板ヘルニアが改善できるかどうかを判断した上で、治療にのぞんでいます。坐骨神経痛で悩んでいる方や椎間板ヘルニアの疑いのある方は、専門の医療機関の受診をおすすめします。
【取材/秋山 晴康】
伊東 信久 (いとう のぶひさ)
伊東くりにっく 院長
神戸大学医学部卒業後、
大阪市立大学大学院医学研究科を卒業。
医学博士。
日本レーザー医学会認定レーザー専門医
日本形成外科学会認定形成外科専門医
日本レーザー医学会評議員







全国病院・医院選び RSS