中高年はCOPDに要注意!
COPDという病気のことを聞いたことがありますか。以前は慢性気管支炎、肺気腫と呼ばれていたものを2001年にWHO(国際保健機関)が国際的に統一しようと呼びかけCOPDとなりました。わが国ではCOPDの患者さんは500-700万人と推定されていますが、正しく診断され必要な治療やアドバイスを受けている人は20数万人に過ぎません。知らずにいて治療しなければ少しずつ進行していきます。COPDは65歳以降に急に多くなりますが、実は中年のころすでに発症していることが多いのです。
静かに進行していく肺疾患
COPDはたばこを吸っている人・吸っていた人、また有害なガスや煙を吸うような仕事に就いている人に多い病気です。40歳を過ぎてせきこみながらたばこを吸っている人、かぜが治りにくいと思っている50歳、同じ年代の人と並んで坂道を上るとき一人だけ遅れていく人、これらがCOPDを疑う場合のポイントです。喘息とCOPDは症状が似ていることもありますが、原因も違いますし、治療の方針は異なります。
つらい息切れと並存症
COPDの患者さんを苦しめるのは坂道や階段を上るときの息切れです。病気が進んでくると苦しくて外出ができなくなり、やがてベッドから出られなくなります。COPDは多くの他の病気を呼び寄せることが問題になっています。肺がんがみられるだけでなく、手足の筋肉が細くなって力が弱くなり、心臓病や脳卒中の合併が多くなります。落ち込みが多くなりCOPDの患者さんの半数はうつ状態といわれます。最近の研究ではCOPDは全身の病気と考えられています。
喫煙が最大の原因
COPDの患者さんの95%はくり返したばこを吸っている人です。70歳以降では喫煙歴のある人の半数が危ないといわれています。現在は男性に多い病気ですが、将来は女性患者が急増するだろうと予測されています。若い女性の喫煙者が増えていること、男性より女性の方がCOPDにかかりやすいことがその理由です。肺は18歳くらいまでが成長期といわれています。樹木でいえば若葉の時代にくり返し有害な煙を吸うとCOPDの発症はさらに早まります。たばこ煙を吸うことが原因ですから受動喫煙でもCOPDを起こすのではないかといわれています。これが若いお母さんに禁煙を勧める理由です。
進行すれば医療費がかかる
COPDは自分が苦しいだけではありません。かぜをひいたりすることによりCOPDは急に悪化します。重い状態では入院が必要となり、抗生物質の点滴や酸素吸入が必要になります。さらに重い状態では人工呼吸器が必要になることもあります。入院はとても医療費がかかります。家族だけではなく保険制度を支えている社会全体にとってもとても重い負担になります。できるだけ軽いうちに適切な治療を受けることが、苦しい症状を和らげ快適なものに変えるだけでなく経済的な点からもお得です。
早期発見と的確な治療は重要
COPDは絶望的な病気ではありません。2006年、WHOは、COPDを「予防ができ、治療ができる病気」と呼びかけています。COPDについて正しい情報をもつことにより、病気になるのを防ぐことができます。近年、COPDに効果的な薬が多数使われるようになり、有効な呼吸リハビリテーションも行われるようになってきました。早期発見はスパイロメトリーという簡単な肺機能検査でできます。大きな専門病院を探す必要はなく、まず近くのかかりつけ医に相談してみましょう。
木田 厚瑞 (きだ こうずい)
日本医科大学呼吸器内科教授
同大学呼吸ケアクリニック所長
| 昭和45年 | 金沢大学医学部卒業 |
| 昭和50年 | 金沢大学大学院医学研究科修了 |
| 昭和50年 | 東京都老人医療センター呼吸器科勤務 |
| 昭和52-55年 | Canada, Winnipeg, University of Manitoba 留学 |
| 平成6年 | 東京都老人医療センター呼吸器科部長 |
| 平成15年 | 日本医科大学第4内科教授 |
| 同年 | 日本医科大学呼吸ケアクリニック 所長 |








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