従来、脳の疾患に対する治療手段は、頭部を切開する開頭手術のみとされていた。しかし、近年では別の選択肢として、脳血管内治療が注目されており、状況に応じた治療が行われている。
脳血管内治療とは
脳血管内治療とは、脳動脈瘤や頭蓋内血管の狭窄(きょうさく)、脳血管障害といった脳の疾患に対して、開頭することなく、血管内部から治療する方法だ。体への負担を抑えることができるほか、開頭手術では難しい位置にある病変に対しても治療が可能である。
この治療法は脳血管造影検査(足や腕の付け根から脳に近い血管まで挿入したカテーテルで造影剤を注入し、エックス線で脳血管の状態を撮影する手法)から発展した。まず、カテーテルを足の付け根の血管から挿入し、エックス線で確認しつつ脳へ導く。病巣に達したら、管を通して治療のための器具を送り、状況に応じた処置を行う。
例えば、破裂するとくも膜下出血を引き起こす脳動脈瘤は、動脈がこぶ状に拡張したものであるため、そこに医療用コイルなどの人工物を詰める。すると、次第に血栓が形成されて動脈瘤が固まり、破裂を防ぐことができる。また、脳梗塞を引き起こす脳や首の血管の狭窄に対して、網状の筒などを用いて拡張し、血流を確保するという処置を行うことも可能だ。ほかにも、さまざまな疾患が脳血管内治療の対象となっている。
高まる専門医への期待
脳血管内治療は1ミリ前後の精度での操作を、足の付け根から脳まで1メートル以上離れた距離から行うものであり、医師には高度な技術が要求される。そうした技術を修得した医師であることを、日本脳神経血管内治療学会より認定されているのが脳血管内治療専門医だ。
専門医の認定を受けるためには、知識だけではなく、定められた訓練期間及び症例数などが求められる。また、5年ごとの更新も義務付けられているため、常に技術を研鑽することも必要である。厳しい審査を経て認定される専門医は、脳血管内治療の専門家として、患者にとって頼れる存在になっているといえるだろう。
【文・鈴木 健太】







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