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JICAが派遣するボランティアのうち、現在の派遣数の3割以上を占めるアフリカは、援助の必要性が高い地域であり、今後も多くの国や地域で私たちの協力が求められている。また、今年は5年に1度の「アフリカ開発会議」が横浜で開催されることもあり、アフリカへの国際協力が一層注目されている。そこで、セネガルへの赴任経験もあるJICAのアフリカ部長である黒川恒男さんに、アフリカの現状とそこで活動する意義や魅力をうかがった。さらに、黒川さんがパネリストとして参加し、さる3月29日に横浜で開催された「アフリカ開発会議 横浜開催記念シンポジウム」の模様をあわせて紹介する。

アフリカ開発会議 横浜開催記念シンポジウムの模様はこちら

与えるものより与えられるものが大きい協力隊の体験

私がセネガルにJICA事務所長として赴任していた時、青年海外協力隊の若者たちが任務を終えて帰国する場面に何度か立ち会いました。セネガルの地元の住民が青年海外協力隊員(以下、隊員)たちに「ありがとう」と感謝の言葉を述べるのに対し、多くの隊員が「いいえ、お礼を言うのはこちらの方です。」と返していたことを、印象深く覚えています。

おそらく隊員たちは、現地の方たちのために何かをしてあげたいと、意気込んでアフリカの地を踏んだに違いありません。しかし二年間の滞在の中で、自分たちが与えた以上に多くのものを、アフリカの人たちから与えてもらった。その実感が、自然に言葉となって口から出たのでしょう。私自身も、赴任中に本当にたくさんのことを学ばせてもらいましたから、彼らの気持ちはとてもよくわかります。

隊員は、自分達は派遣先の開発途上国の人たちにとって、スーパーマンのような存在であるに違いないと想像しがちですが、実際は全く違います。日本人が持っている知識の多くを、開発途上国の人たちも実はすでに持っている。彼らの生活を飛躍的に向上させる魔法のようなアイデアや活動など、現実にはないと言ってよいでしょう。隊員たちはむしろ、住民と対等の立場でともに試行錯誤を重ねていく存在なのではないでしょうか?

アフリカの人たちは、そんな彼らを優しく受け入れてくれます。どんなに食糧事情の悪い時期でも、村人は隊員に「飯を食いに来い」と誘ってくれたようです。その一方で、至らぬ点があれば叱ってもくれる。その人間関係の中で隊員たちは多くのことを学び、大きく成長するのです。

もちろん、隊員たちの活動が、現地の生活に大きく貢献していることは言うまでもありません。それぞれの隊員が持っている専門知識もさることながら、外国人だからこそできることがいろいろあるのです。中でも重要なのは住民たちの新たな行動の「呼び水」になるということです。

例えば染物のプロジェクト。現地の女性たちも自分たちが染めたものを町に売りに行けば、多少の現金収入になることを知っているかもしれない。でも、自分ひとりでは生地や染料が揃わなかったり、ノウハウがなかったりとなかなか行動に移すことができない。そこで、町や市場へ自由に移動することができ、既成概念にとらわれない隊員の登場です。彼らが女性たち一人ひとりに染物プロジェクトへの参加を呼びかけ、その意義や可能性を伝えることで初めて、女性たちが自ら集まり、グループを形成して実際の行動に移していく。この小さな一歩が、やがて大きな動きにつながっていくことも少なくないのです。

また、ラジオ体操が住民の健康増進につながったり、運動会がコミュ二ティーの結束を強めたりと、日本では当たり前な習慣やアイデアが、現地で大いに歓迎されることもあります。

もし協力隊に参加するなら、あまり気負わず、半年ぐらいはじっくり現地の生活を見て、学ぶべきことは学ぶ。それから自分が必要だと思う行動を起すことで、人々の生活に十分に貢献できるのではないかと、私は思います。

もはや「遠く」ないアフリカは今後ますます国際協力の場として注目が集まる

アフリカというと日本から遠く、文化的にもかけ離れた地域というイメージをお持ちの方も多いでしょう。しかしそこには、情報が少ない故の思い込みも多分に含まれています。

例えば、暑くて汗をかく地域だから、むさ苦しい生活をしているのではないかという誤解。実際にはアフリカの人たちは大変きれい好きで、村の家の中や庭はきちんと掃除され、衣類の洗濯もしっかりやっています。水が自由に使えなかったり、そもそも公衆トイレを使ったことがないため、トイレ事情は日本と異なることもあります。しかし、人をもてなす心、助け合いの精神など、我が国のかつてのきちんとした社会を見るようで、むしろ懐かしさと親しみを感じる面もあるかもしれません。

農村部には、さすがに日本にあるようなコンビニはありませんが、パンや雑貨を売る店は見かけるようになりましたし、インターネットカフェも登場しはじめています。また携帯電話の普及のスピードは速く、JICAが協力隊を派遣している地域では、作業中の畑の真ん中でも、携帯電話が使える場合もあります。もはや、文明と隔絶した秘境のような生活は、アフリカにもほとんどない。まあ、それが物足りないと言う人も中にはいるかもしれません(笑)。

現在アフリカでは年率5%を越える経済成長を維持しています。経済発展を遂げる中でその社会も大きく変わりつつあります。とはいえ、アフリカが世界の中で最も貧困が集中している地域であることも事実です。その意味では、非常に仕事のやりがいのある地域といえるでしょう。JICAのアフリカ支援は益々重要性が高まっていますし、アフリカに派遣される隊員が、全体の3分の1強である900名まで増えてきています。これは、アフリカ地域における援助の必要性が高いと、私どもJICAが考えているにほかなりません。

気候・風土が日本と大きく異なっていることはご存知の通りです。食糧事情、健康管理など、かなり厳しい環境での生活を覚悟する必要があります。

現在アフリカ地域にJICAは約30の事務所を有しています。是非多くの若者に、アフリカに目を向けてほしい。そして、かの地で活躍する機会を得られたのであれば、そこで学んだことを帰国後活かし、日本のそれぞれの場所で、リーダーとして活躍していただきたいと思います。

黒川恒男氏が聞き手役を務めるJICAホームページの特集「アフリカの話をしよう」はこちら

黒川 恒男(くろかわ つねお)

ジュネーブ大学開発研究所(旧アフリカ研究所)修士課程修了。1999年から2002年までJICAセネガル事務所長。帰国後、安全情報室長を経て、2004年からアフリカ部長。サブサハラアフリカ48カ国における資金協力、技術協力、ボランティア事業を担当。


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