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戸建てナビ

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お役立ちコラム

お役立ちコラム

「住宅の質」に着目した住まい選びのポイントを環境・構造・設計・設備・内装仕上と住宅が完成するまでの流れに沿ってご紹介します。

第3回「Quality of Life-心地よい住まい」

アメニティ―快適な居住環境とは

最近、幼児の虐待や児童の誘拐など痛ましい事件が多発していますが、このような事件のほとんどは周囲の目が行き届いていれば防げたのではないかと思います。ご近所の方、友達のお母さん、商店主や外で働く人々がそれとなく気をつけていれば大事には至らなかったかもしれないのです。都市の生活はつきあいの煩わしさがなくて快適だなどと思っているうちに私たちの住環境はとんでもない方向に進みはじめているようです。

アメニティー「住み心地の良さ」「快適な居住環境」の追求は住宅性能の向上というハード面では成果があったかもしれませんが、気密性や耐久・耐震性、遮音性などはどれをとっても建物を閉鎖的にして外部から身を守るシェルターの強化に過ぎません。しかし住環境全体として見た場合の快適性とはそれだけではなく、住まいを取りまく自然や街並みの風景、歴史や地域文化、コミュニティーや人情、自治体の公共サービスといったものによって安心して生活が送れるということではないでしょうか。本当に住みよく快適な居住環境とは、町の安全性と美しさであり、そのためにはしっかりした近所づきあいが必要だと思います。近所づきあいは一朝一夕にできるものではありませんが、町全体の安全性や家族の安全を考えるならば、少しづつでも地域の活動に参加するようにして、近所に開かれた家にしていく工夫やしかけが必要だと思います。

外から内へ―土間のつきあい

そもそも伝統的な日本の住まいは自然と一体でどこからが内でどこからが外か曖昧な空間と言えるでしょう。土間はなんとなく内に入り込んでいて、縁側はなんとなく外につながっているといった具合です。人々のつきあいも同様に、お互いに干渉し過ぎず、相手を気遣う自然なつきあいがなされてきたと思います。江戸時代には庶民が玄関をつくることは禁じられていたため土間が出入口の役目を果たしていました。農家の土間は農作業をする場所としても利用され、町家や商家では表から繋がる土間が外に対しても開放的な空間を創り出していました。土間は履物を脱がずに用件を済ませることができ接客にも気兼ねのいらない空間でした。今日では広い土間はなくなりましたが土間の役割は残り、狭い玄関ですべての対応をせざるを得ない状況です。突然の来客、御用聞き、荷物の受取、訪問販売・・・しかも床と土間の段差が小さい玄関では、お客様と立ったままで対応するしかありません。このような対応の仕方は決して望ましいこととは言えません。

以前、マンションのリフォームをしたことがありますが、居室にはあまり適さない玄関横の北側の洋室を、思い切って玄関から繋がる土間とし平板の石と玉砂利を敷き詰めて露地風に仕立てたことがありました。そこに縁台を置けば、玄関先で用件が済む場合でもちょっと腰掛けて話ができ、接客の好感度もアップするのではないでしょうか。また、四季折々の草花を生けたり年中行事の室礼のコーナーを設けるなどして日々の暮らしに彩りを与えることができると思います。それはお客様にとってだけではなく、家族にとってもとても心地よいことだと思うのです。

内から外へ―縁側のつきあい

伝統的な日本の住まいには、座敷から明り障子を隔てて庭に続く間に縁側という板敷きの空間がありました。夏の夕涼み、秋のお月見、冬には日向ぼっこをしながら家族がくつろぐ場として、また近所の人が腰掛けて話しこんでいったり、住まいの手入れに来た職人さんにお茶を出したり、開放的で格式にとらわれない自由なつきあいの空間でした。今日ではこのような気軽に人が訪れる空間は防犯上や敷地条件からも設けにくくなっていますが、現代の住まいの外周部にもこのような自然との触れ合いや人とのつきあいが快適に行える空間が創れたらいいと思います。門は取り払い、高い塀は低くしできれば生垣など自然のものにし、玄関の前にベンチのあるアルコーブを造ったり、車庫は車の無いときは立ち話の場や共同購入の仕分け場所にしたり、近所の来客用の駐車場として提供するなどといった心遣いが近所づきあいの足がかりになるのではないでしょうか。

小杉寧子小杉寧子(コスギ ヤスコ) 一級建築士
日本大学理工学部建築学科卒
大高建築設計事務所入社、結婚を機に退職、その後育児に専念する。
現在、家づくりトータルコーディネートセンターで、住宅のあらゆる相談に応じる。