
前回は、「意外にも一戸建てを購入するということは、夢のまた夢・・・というわけでもない。」ということをお話させていただきました。とはいえ、一戸建てであれば、何でもいいというものでもないはずですよね。まずは、ラフに「どんな生活がしてみたいのか」を考えてみることが先決です!そして、その次のステップとして、様々なマイホームのカタチのメリット・デメリットを知って、「自分たちの希望するライフスタイルにあうマイホームはどんなカタチをしているのか」、について考えていくのが自然な流れであると、私は考えます。
しかし、多くの場合、まずカタチ(例えば、一戸建てかマンションか、価格はこのくらいetc.)を決めることから、マイホーム探しを始めてしまうのでカタチの中に自分たちのライフスタイルを押し込めてしまったり、もしくは購入してからようやく自分たちのライフスタイルに気づいたり…なんてことも出てきてしまうんですよね。
アメリカのローランド・ホールが提唱した「消費行動」のプロセスに関する有名な仮説に、AIDMA(アイドマ)の法則(Attention(注意)→Interest(関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)の頭文字)というものがあります。
確かに、マイホーム購入も日用品購入も消費行動ですので、そのプロセスはAIDMA(アイドマ)の法則に沿うといえます。しかし、マイホーム購入は日用品購入とは違って、広告等で、目にとまった(Attention)物件に関心(Interest)を持って見学をしてみたら欲しくなり(Desire)、一応他の物件も見たけど、印象に強く残った(Memory)アノ物件を契約(Action)した後、いくら気に入らないところが出て来たからといって、捨てちゃえばいいという価格帯のものではありません。だから、AIDMA(アイドマ)の法則でいうところの自分たちのAttention、Interestの要因について前もって、よく知っておくことが必要なのです。
前置きが長くなりましたが、今回から数回にわたり、Attention(注意)、Interest(関心)について考えるためのひとつのヒントとして、一戸建ての魅力(メリット)について考えていきたいと思います。
不動産ポータルサイトHOME’Sの行った調査(持ち家一戸建て住宅購入者の実態調査)によると、マンションと一戸建て住宅を比較検討した結果、一戸建て住宅を最終的に選んだ理由の5位にランキングしたのは「プライバシーを守りやすい」という理由。また同ランキングのトップには「隣室や上下階との関係に気を使わないですむから」という理由も挙げられていますが、大きくとらえれば、これも「プライバシーを守りやすい」という意味にもとれますので、マイホーム選びの中で、「プライバシー」は大きなキーワードであるといえるでしょう。
確かに、私たち夫婦もホントにクダラらないことで、夜中に口ゲンカを始めてしまうことがあったりするのですが、冷静になった時、「この声、お隣さんに聞こえていたよなぁ…多分」と思ってしまうこともありますし、自宅に友人をたくさん招いてパーティを行う時、日中でも何となく気を使ってしまう…なんてことありますよね。それだけでなく、お子様がいらっしゃるご家庭では、泣声や走り回る音等々、隣近所に迷惑をかけていないかドキドキしながら生活しているという声も聞きますので、一戸建てに決めた理由として、「隣室や上下階との関係に気を使わないですむ」「プライバシーを守りやすい」ということが上位にランキングされるのもうなずけます。
ここであえて意地悪な質問をひとつ!
一戸建てであれば、プライバシーを守りやすいというのは、本当でしょうか?
皆さんなら、どうお答えになりますか?なぜ、こんな意地悪な質問を投げかけたかというと、ここにも、Attention(注意)、Interest(関心)のヒントがあるからなんです。つまり、自分たちは「どんなプライバシーを守りたいのか」、それが問題だ!ということです。
プライバシーという言葉を大辞泉で引いてみると、「個人や家庭内の私事・私生活。個人の秘密。また、それが他人から干渉・侵害を受けない権利」と書いてありますが、漠然としていますよね。つまり、人それぞれの価値観によって、「プライバシーを侵害された・されない」という感じ方の違いが生じるということです。また、「プライバシーを侵害された」と感じる要因は様々ですが、例えば、聴覚による要因について考えてみただけでも、マイホームのカタチは変わってくるんですよ。
聴覚による要因

聴覚による要因には、音や振動が考えられます。話し声やAV機器等の音が自宅以外の隣室に聞こえてしまうという点においては、一戸建ての場合、そもそも独立した建物なので、一般的には、相当な音量で話したり、音楽やテレビを見たり聞いたりすることがなければ、ご近所迷惑になるということは考えにくいですし、反対にご近所に迷惑をかけられるということも考えにくいでしょう。ただ、住宅密集地の場合、隣の建物との距離が近いということも考えられます。窓を開けているときの生活音(掃除機、洗濯機、話し声、くしゃみなど)やエアコン室外機の音などが気になる方は、敷地の広さ、建物の距離、建物配置という点にも留意された方がよいと思います。
一方、これが分譲マンションであった場合でも隣室に声や音が漏れたりということは、一戸建てと同じく、相当な音量で話したり、テレビや音楽を見たり聞いたりすることがなければ、考えにくいことではありますが、一戸建てと決定的に違うのは、集合住宅であるということと上下階室が存在することです。
上下階室は一戸建てには、存在しませんが、集合住宅である分譲マンションには存在します。また分譲マンションの遮音性は高いといえるものの、音の聞こえ方・感じ方は十人十色ですから、集合住宅である以上、窓を閉めている状態でも全く隣室及び上下階室の生活音が気にならないものであるとは言い切れません。
このように、聴覚による要因、つまり「音」というポイントについて考えてみただけでも、皆さんご自身がどんな生活を送りたいのか、送っているのか、について、考えることができます。この他にも、視覚による要因についても考えてみられるとより深く、マイホーム選びにおける「プライバシー」というキーワードから、皆さんご自身のAttention(注意)、Interest(関心)を知ることにつながると思いますので、ぜひ考えてみてください。
いとう みき