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企画 制作 朝日新聞社デジタルメディア本部

いままでも、これからも。

Episode 4:絆

Episode4 絆

「お父さん、ごめんなさいね。本当は退職のお祝いしてあげたかったんだけど、急な仕事が入っちゃって」
フードコーディネーターをしている娘の浩子は、電話の向こうで残念そうな声を出した。
「そんなことは気にしなくていい。おまえは忙しいのだから。それより、徹さんと仲良くやっているのか?」
「ええ、もちろん。いまでもラブラブよ」
徹というのは浩子の夫で印刷会社に勤務している。
「それじゃ、もう切るぞ。時間が取れたら、いつでも遊びにおいで。母さんはいつもおまえのことを心配しているし、今度話したいこともあるから。じゃ、元気で」
「お母さんには心配しないでって言っておいて。お兄ちゃんと美奈子さんによろしくね。じゃ、お父さん、長い間お勤めお疲れさまでした。またね」
本当は心配しているのは妻よりも私のほうかもしれないが、娘の元気な声は私を幸せな気持ちにしてくれた。いくつになっても子供たちの可愛さは変わらない。
「さぁ、みんな、食事にしましょう」
妻と美奈子さんが料理を運び、テーブルは妻の得意料理で埋め尽くされた。
「親父、一杯」映太がビールをついでくれた。
「お、すまんな」
琥珀色の液体が白い泡と一緒にグラスに注がれた。
「お父さん、ごくろうさまでした」妻のこの言葉を合図に、みんなで乾杯をした。
「お疲れさまでした」と美奈子さん。
「定年退職おめでとう」映太は言った直後に
「あ、これこれ、俺好きなんだよなぁ」と料理に箸をのばした。
「あー、ダメダメ」手で料理を直接触ろうとした孫を美奈子さんがたしなめた。
にぎやかで楽しい食事が始まった。

「ところで、さっき浩子に“今度話したいこと”って言っていたけど、なんのこと?」映太が私に尋ねた。
「実はな、これからは母さんと沖縄に引越してのんびり暮らそうと思う」
何年も前から妻と計画していたプランを初めて口にした。
「エーッ、そうなの!?」目を丸くして驚く映太。
「素敵じゃない」美奈子さんが笑顔で言った。
「まだ計画段階なのよ。ね、お父さん」と妻。
「ああ、いま少しずつ準備しているところなんだ」
「親父、お金は大丈夫なのか?」
退職金(※1)が出たからな。あと2年残っているマンションのローンを繰り上げ返済して、残りでなんとかなると思う」
「そうかぁ、沖縄はいいよ。海はきれいだし、のんびりしてるし」
リタイアして沖縄に引越しする人は年々増え、支援する会社や組織がたくさんあることはネットで調べ済みだ。いまはそのうちの一社に物件探しを依頼している。
「退職金って、そんなに出たの?」と映太が聞いた。
「いや、それほどでもないよ」
「親父の会社ってさ、給料たいしたことない分、退職金がいいのかな」
「あなた、お父さんに失礼よ」美奈子さんが映太に言った。
「10年くらい前から、いろいろ計画していたんだよ」

私は10年前から退職に備え、セカンドライフについて(※2)具体的に考えるようになっていた。
退職すると収入と支出(※3)のバランスが大きく変わる。厚生年金だけでは心細いし、ゆとりあるセカンドライフのために、退職金を上手に活用する方法もすでに決めている。リスクを分散するためにも、これまで保有していた投資信託と国債と株式は継続して保有し、新たに収益分配型ファンド(※4)にも追加して投資する予定だ。
「いつごろ向こうへ移られるご予定なんですか?」美奈子さんが聞いた。
「少なくても半年以上は先だと思うわ。退職していろいろな手続きを済ませてからじゃないとね」と妻。
厚生年金(※5)の申請や雇用保険をもらったり、確定申告など、退職にはさまざまな手続きが必要になる。
「それと、働き者のお父さんが会社へ行かなくなって、新しい生活に慣れる時間も必要だと思うの」
どんなときも妻は私のことを考えてくれている。
「いいなぁ、俺も沖縄でのんびり暮らしたいなぁ」映太が言うと
「あなた、お父さんは40年近く働きづめだったのよ。あなたはまだ7〜8年しか働いてないじゃない」と美奈子さんがピシャリ。
「はいはい、そのとおりの若輩者でございます」怒られた子供のような映太。

妻と美奈子さんがキッチンへ行ったとき、私は映太に言った。
「父さんが何とかここまで来られたのも、すべて母さんのおかげなんだよ。こんなことお前に言うのは恥ずかしいが、父さんが母さんと結婚したとき、結婚資金がなくて母さんのお金を借りたんだ。マンションを買ったときは、お義父さんに頭金を協力してもらった。みんなが進学するときは、母さんが計画して貯蓄しておいてくれた。若いころ私には資産運用の知識がなく、母さんに教えてもらったり、自分なりにいろいろ調べたりしたんだ」
「へぇ、知らなかった。お母さんって、すごいね」と映太。
「ああ、父さんはずっと頭が上がらないよ。そういうことは、お前たちには一言も言わないが、みんなに心配をかけたくないという気持ちと父さんのプライドを大切にしてくれたんだと思う。今回沖縄に家を買う話は、実は母さんへの感謝の気持ちなんだ。このマンションを買った時、母さんは『一戸建てに住みたい』と言っていたから。30年遅れだけど、やっと母さんの希望が叶えられるよ」

キッチンから妻と美奈子さんの笑い声が響く。
私は妻と人生を歩めて、本当に幸せだ。いまや人生は80年の時代(※6)。私にはあと20年ある。
私は心の中で「いままでありがとう。そして、これからもよろしく」とつぶやいて、コップのビールを飲み干した。
Fin
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ライフプランと資産運用を考える

【 1. 退職金 】

退職金の平均は約2400万円

退職金の制度は会社によって異なりますので、受け取る金額も千差万別です。平均額を見てみると、定年退職のときに受け取る退職金は、大学卒で約2402.5万円、高校卒の総合職で約2120.7万円となっています。 (労務行政研究所『退職金・年金事情2005年版』より)

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【 2. セカンドライフについて 】

第二の人生の準備を

野村證券では、退職後の収入計画、医療・介護、相続など、第二の人生において考えておきたいことの情報をご提供しています。(野村證券ホームページへ)

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【 3. 支出 】

世代別で支出の内訳は違う

家計の支出は、世代によって違います。30歳未満では住居費、30代で幼児関連費、40代で教育関係費と情報通信関係費、50代でペット関連費、60代で旅行関連費とスポーツ施設使用料、70歳以上でタクシー代がそれぞれ高い割合を占めています。 (総務省『平成18年度家計調査』より)

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【 4. 収益分配型ファンド 】

収益分配型ファンドの活用

収益分配型ファンドは、収益の大部分を分配金として定期的に還元する投資信託です。毎月分配型や、公的年金の出ない奇数月に分配金が支払われるものもあります。(野村證券ホームページへ)

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【 5. 厚生年金 】

年金だけの生活で十分か

退職後は旅行や趣味などを楽しみ悠々自適に暮らしたいものです。しかし、そんなゆとりある生活を送るためには、公的年金だけでは不安という方も多いのではないでしょうか。「退職後の生活」という大切なライフイベントに備えるためには、資産を賢く運用して殖やすことを考えてみてはいかがでしょうか。(野村證券ホームページへ)

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【 6. 人生は80年の時代 】

日本人の平均寿命は世界一

日本人の平均寿命は、男性79歳、女性86歳。100歳以上の人が2万人を超え、世界一の長寿国になりました。寿命の長期化は、退職後の人生の長期化も意味します。長くなったセカンドライフを謳歌するためには、しっかりとしたマネープランを立て、早めに準備を進めておきましょう。 (厚生労働省『平成18年簡易生命表』より)

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